松尾画報

辺境のカンガルーの近況

ひっかかる

3年ほど前に、とあるベンチャー企業の電気自動車のプロモーションの仕事をしました。

パンフレットを作ったり、HPに掲載する写真や動画を撮ったり、という仕事ですね。

ナンバープレートを取得した試作車があったので、公道も走れました。

興味があったので、私も運転させてもらったんですが、これがなかなか面白い。

 

ものすごく小型な、日常のちょっとした足につかうようなタイプの車体です。

なんというか、もう普通の自動車とは別の乗り物なんですよね。

起動が早くて、走行も静かで、小回りがきいて、原付に近い感覚。

 

でも先日、残念ながら、その電気自動車のプロジェクトチームが解散すると連絡がありました。

プロジェクトリーダーは悔しそうな、でも力の込もった声で、電話口の私に言いました。

 

 

 

 

 

(プロジェクトリーダー)

『体制を整えて、またいつかやりたい。

ハシモトくん的にはあの車体どうだった?

思うところがあれば、自由な意見を聞かせてほしい。

なにかの参考になるかもしれないからね』

 

 

(ハシモト)

「そうですね、原付みたいなライトな乗りやすさだったので、

“ペーパードライバーが運転の感覚取り戻す”目的とかに使ったら面白いですかね。

私も19歳で免許を取ってから大学時代ずっとペーパードライバーで、

就職したときに社用車乗るのけっこう苦労したんですよ。

友達の車借りたり、少ない給料使ってレンタカー借りて練習したりしましたよー」

 

 

 

 

 

“自由な意見を”ということでしたので、わりと軽い思いつきで言ってみました。

すると、それを聞いたプロジェクトリーダーは、

「それだ!面白い!それで資金集めよう!新しいビジネスモデルだ!」

と言って盛り上がってしまいました。

 

 

 

……なんか、すごく不安です。本当にやるのかな? やりませんよね?

いや、でも、猪突猛進のあのリーダーなら勢いで走りかねない…。

 

ざっとネット検索したら、もう既にそういうサービスありますね。

それどころか、教習所でもそういう講習ありますね。

最近はカーシェアリングとかで手軽に練習できそうですしね。

 

でも、既にあるサービスだっていうことはさすがに知ってますよね、業界の人ですから。

車両提供方面でビジネス展開するとか、そういう話ですよね、きっと。

イチから訓練サービス立ち上げる気じゃないですよね。

さすがに今から参入したって、成功見込めなさそうですもんね。

 

いやいや、でも、あのリーダーだからな…。

……やっぱり近々電話しよう。

 

 

 

嘘のような、でも、本当の話です。

あんまり適当なことしゃべるもんじゃないですね。