松尾画報

松尾の独り言

まほろば消化器倶楽部

松尾です。

先日、近大奈良病院の水野教授と平群の橋本先生たちと私が関わらせて頂いている勉強会「まほろば消化器倶楽部」を、近畿大学奈良病院の会議室をお借りして行いました。

水野先生に現時点での重症逆流性食道炎の治療方針についてご講演頂き、近大奈良病院の岡崎先生に興味深い膵臓疾患の症例提示があり、生駒の阿部診療所の阿部洋介副院長から10例の早期胃癌・早期大腸癌の内視鏡画像を見せて頂き、充実した内容でした。

そして、私が座長を担当した特別講演には、日生病院消化器内科部長で神戸大学客員准教授の有坂好史先生を招聘し、先生のライフワークである膵癌早期診断の最前線について奥深いご講演をして頂きました。

膵臓癌のリスクファクターや早期癌の診断、膵のう胞との関連、膵のう胞の取り扱い方針について熱心にご講演頂きました。

膵癌のリスクとしては、慢性膵炎、糖尿病、肥満、喫煙、過度の飲酒の他に、家族歴もあり、有坂先生によるとエコーとCTだけでは安心せず、リスクがあればMRCP(MRI)を行うべきであり、少しでも疑いがあれば専門病院でEUS(超音波内視鏡)が必要とのことです。

今後、私の外来でも、積極的にMRIをお勧めしなければならないと思いました。

この有坂先生、実は私にとっては研修医時代のそれはそれは怖いオーベン(指導医)でした。

20年以上前の話ですが、当時はまだ現在のような研修システムではなく、将来自分が専門にしたい一つの医局に入局し入院患者さんの主治医となり、各疾患を専門とするオーベンの指導の下で知識と基本的技術を身につけることが普通でした。

非常に熱く、曲がったことが大嫌いな有坂先生からは、常に体育会系的指導をしていただきました。

2年間の研修期間が終わると、専攻医として大学医局の関連病院で専門的技術を習得するのですが、私は敢えて有坂先生が指導に来られる関連病院に出向しました。

有坂先生は肝胆膵疾患を専門とされており、特にERCP(内視鏡的逆行性胆膵管造影)と腹部エコー(超音波検査)をご指導いただきました。

先生の検査、特にERCPは芸術的なほど美しいスタイルでした。

一方、指導方法は、もはや格闘技系的指導でした。

先生に叩き込まれた検査方法は私の体に染み付いており、私が現在も行っているエコーの検査方法は有坂先生に教わったそのままです。

有坂先生は、私が尊敬する医師の一人であり、惜しみなく技術を叩き込んでいただいた恩人です。

有坂先生、ご講演頂き有り難うございました。少し近くなりましたので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

「まほろば消化器倶楽部」に興味をお持ちの先生がおられましたら、クリニックにご連絡下さい。