松尾画報

松尾の独り言

内視鏡の新時代

松尾です

私が大学を卒業した頃は、オリンパス社が世界の内視鏡のシェアの90%を占める、米国に渡られた新谷弘実先生が開腹せずに大腸癌を手術できる、大腸内視鏡を二人法ではなく医師1人で全大腸内視鏡検査ができるようになったという時代でした。

精密検査にはインジゴカルミンというジーンズの色素であるブルーの色素を使用していました。

その後、オリンパス社がNBI(挟帯域光)の技術を現実化し、フジノン(現富士フイルム社)が経鼻内視鏡を一般化し、一気に内視鏡検査の幅が広がりました。

当院では従来より、経鼻内視鏡で一日の超がある富士フイルム社の内視鏡システムを使用しており、血流を強調して観察できるFICEというモード、加えて全例にインジゴカルミン散布という手法で検査してきました。

相当数の超早期癌を発見できたと自負できます。

現在、富士フイルム社の通常観察+FICEに加え、レーザー内視鏡による観察を行っています。

レーザー内視鏡では、通常観察に加えBLIやLCIという特殊な観察方法が可能であり、腫瘍(BLI)や炎症(LCI)をより早期に発見可能となっています。

今後、レーザー内視鏡に関する知見をお話ししていく予定ですが、レーザー万能ではなく、弱点も見えてきました。

それは、近い病変には強烈に威力を発揮しますが、中遠景の画像には光量不足で充分な観察ができません。

そのため、FICE/BLI/LCIを使い分けることができる知識と設備が必須と感じます。

奥田医師と私ともに、適切にFICE/BLI/LCIを使い分ける技量を更に磨いていく所存です。

設備としても光源と内視鏡を2種類ずつ必要でありますが、検査の精度を高めるためには進んで導入していきます。

しかし、二十数年前と比べると飛躍的な進歩であり、内視鏡の新時代の到来であることは間違いないでしょう。