辺境のカンガルーの近況
吹き飛んだ
その日は仕事が忙しい日で、
ふらふらと満身創痍で帰路に着いていました。
前から来た欧州系の外国人カップル。
すごく元気に話して、二人で笑い合ってます。
11月だけど、2人とも半袖Tシャツ一枚。
すごいな、寒くないのかな。…あ、その、Tシャツ…。
Tシャツにはデカデカと「ラーメン大好き」の文字。
あと、かなりゆるいテイストのラーメンイラスト。
私、こういう迷いのない直球系に弱いんですよね。
疲れた身体の笑いのツボに、クリティカルヒット。
そうか、ラーメン大好きなのね。食べに来たのね。
すごく堂々と着てるね。晴々しいね。
マスクで口元を隠してたってわかるであろう、
抑えきれない笑い。いやいや、笑っちゃダメだ。
肩を震わせながら笑いを噛み殺し、
咳払いをして眉をしかめるふりをして誤魔化します。
それでも抑えきれずに笑いが吹き出そうだったので、
20年前に他界した愛犬のことを思い出して凌ぎました。
あぁ、そうだ、あいつはもういないんだ…(ラーメン大好き)。
臨終に立ち会ってやりたかったな…(ラーメン大好き)。
私がいつか(ラーメン大好き)あの世に逝ったら(ラーメン大好き)、
出迎えて(ラーメン大好き)くれたり(ラーメン大好き)するのかな。
咬み殺した笑いはおそらく気づかれることなく、
なんとか、外国人カップルとすれ違いました。
すれ違った後は、なんだかすごく元気になっていました。
この数十秒で、今日1日の疲れなんて全部吹き飛んだ。
ありがとう、ラーメン大好きカップル。すごく感謝してる。
また今度会えたら、ラーメン奢らなくちゃ。