松尾画報

松尾の独り言

奈良県は胃癌が多かった

松尾です。

従来、先進国には大腸癌が、発展途上国には胃癌が多いということが知られていました。

ハワイの日系アメリカ人を対象とした疫学調査では、欧米人型で胃癌よりも大腸癌が多く、その原因は民族的なものではなく食生活にあると考えられていました。

そのような中で、日本は先進国には珍しく胃癌が多いことも判っていました。

日本の中では、以前から東北地方の日本海側と奈良県に胃癌が多く、私が使用していた病理学総論のテキストにも一定人口当たりの胃癌罹患率の図表では、東北地方とともに奈良県が最上位に記載されていました。

病理学の特別講義で化学発癌の研究をご専門にされていた奈良県立医科大学の教授の講義の中でも、奈良県は胃癌が多く、その原因は朝の時間の無い時に急いで熱い茶粥を食べる習慣があるからと教わりました。

バックスクリーン3連発でタイガースが優勝した1985年頃の話ですが、自分は奈良県育ちであるものの日常的に茶粥を食べる習慣なんかないのにと違和感を持った記憶があります。

その翌年の1986年にオーストラリアの病理医達によりピロリ菌が発見され、後に胃癌の発生に大きく関わっていることが判明しました。

私達内視鏡医にとって、非常に大切な事柄であるため、日々の診療の中で可能な限り説明させて頂いていますが、今後ブログの中でも少しずつご紹介できれば嬉しいです。