松尾画報

駒汚れなく道険し

字母紙貼り

今日は駒木地に字母紙を貼りました。

字母紙とは駒の書体を印刷した紙の事で、一般的に和紙や薄いタイプ紙、トレーシングペーパーなど用い、この様に駒木地に貼り付けてそれに合わせて彫って行きます。中には「透かし彫り」と言って字母紙を貼らずにいきなり彫る達人技もありますが、それはもう神の領域、駒神様です(そんな言葉はない)。

作業は至ってシンプル。字母紙を切り分けて水性のりでペタッと貼るだけ。

なんだ、簡単じゃん、と思い思いきやところがどっこい、さにあらず。これが非常に神経を使う作業なんです。
人間の感覚って実はものすごく優れていて、上下、左右にゼロコンマ数ミリずれているだけで、ゼロコンマ数度左右に傾いているだけで違和感が生まれます。歩など枚数が多い駒は特に合わせるのが大変で、どれだけ上手く彫ってもバランスが悪ければその時点で失敗作になってしまうため、一番最初の難関と言えます。

何を隠そう私、この字母紙貼りが大の苦手(汗)。上手く貼れたはずが後で見るとなんか、なぁんかずれている様な気がして来るんです。振り返ってもこれはバッチリ、と思える時の方が少ないかも。

これも修行です。