松尾の独り言
サルコイドーシス
真夏の日曜日、年に一度の恒例行事となっている大学の奈良県支部の例会があり参加してきました。
今年も猿沢池畔の飛鳥荘で開催されましたが、こちらのお料理はレトロな懐石で、個人的には結構スペックが高いです。但し、私の学年でも下から1/3程で、上は90才代の先輩にお越し頂けるので、懇親会と云えども小心者の私にはゆっくりと料理を楽しむ精神的余裕がありません。
今回の特別講演では、大阪医科大学医学教育センターの寺崎文夫先生の講義を受けることができました。
寺崎先生は、私より8学年上の先生で循環器内科を専門とされており、神の手と一世を風靡した同じく同窓の心臓外科医の須磨久善先生と同時期に、バチスタ手術の元祖バチスタ先生の下に留学をされていました。
大阪医科大学第三内科と言えば心筋疾患、寺崎先生は特にサルコイドーシスによる心筋障害の研究をライフワークにされています。
サルコイドーシスという名前を耳にされたことはあるでしょうか。
これだけ、医学の発達した現代でも、未だ原因不明、場合により致死的な指定難病です。
寺崎先生によると、サルコイドーシスは徐々に増加してきており、特に中高年の女性に多く、初期には殆ど症状が出ない進行性の病気であるとのことです。
肺症状(両側肺門部リンパ節腫張)、眼症状(ブドウ膜炎)、心症状(右脚ブロックや心室性不整脈)が主症状で、ほかに皮膚や消化管、骨にも症状が見られます。
健康診断や特定健診の際の心電図検査で、右脚ブロックはしょっちゅう見られますが、正常であった心電図から変化してきたことに眼を光らせることが大切であるそうです。
確定診断の信頼度は、生検(病理組織検査)が抜群なのですが、その検出率は20%程度と低く、最近、診断の有用性が高い検査法として、心エコーに加え、増影MRIとPET検査を挙げられていました。
また、血液検査でのマーカーとしては、ACEやsIL2Rなどであり、高血圧や悪性リンパ腫や炎症反応で上昇するので、あまりあてになりません。
病理をかじっていた私個人的には、何とか生検する、そして非乾酪性肉芽腫を証明することを最優先に出来ればとうずうずしました。
近年、増加傾向のある病気であり、医師国家試験にも2年連続出題されているそうです。
また、寺崎先生は、他の症状がない、心臓限局性サルコイドーシスなる概念を提唱されていました。
皆様、疑わしければ、信頼できる循環器内科に紹介させて頂きますますのでご安心下さい。